リコー のり面モニタリングシステムが国土交通省の「土工構造物点検及び防災点検の支援技術性能カタログ」に掲載

リコー 2023年11月27日発表


 リコーは、リコーののり面モニタリングシステム「Slope Copier」が、11月17日に国土交通省が新たに発行した「土工構造物点検及び防災点検の支援技術性能カタログ」に掲載されたと、11月27日に発表した。

 国土交通省では、道路構造物の点検の効率化を推進するため、点検に活用可能な技術をとりまとめた「点検支援技術性能カタログ・性能確認シート」を策定している。本カタログは、道路土工構造物の分野で初めての発行で、「Slope Copier」が性能カタログに掲載されたことは、本システムが国土交通省によって性能を確認され、認められた新技術であることを示している。
 リコーは、すでに提供している道路やトンネルの点検サービスにのり面の点検サービスを加えることで、様々な点検用途に応用できる一貫したサービスを展開するとともに、補完技術・サービスを持つ様々なパートナーとの協創をさらに進める事で、より安心安全なまちづくりの実現を目指す。

のり面モニタリングの様子
Slope Copierの構成

 社会インフラの老朽化や自然災害の頻発化・激甚化が進み、インフラの効率的な維持管理が大きな社会課題となっている。特に日本は国土全体の約7割を山地や丘陵が占めており、膨大な数ののり面が全国に広がっているため、その点検には多くの人手と手間がかかっている。近年は、他の道路施設と同様に風化や老朽化が進行し、安全管理が社会課題になっている。また、そのような状況を受け、点検を効率化する民間技術も複数開発されているが、どの技術を選ぶべきかわかりにくくなっている。
 このような背景から、2017年に「道路土工構造物点検要領」が国土交通省から出され、社会インフラであるのり面の維持管理への関心が高まっている。のり面の点検を行う場合、土木技術者が斜面に登り、近接目視での確認を行うが、高所・急斜面などでの作業が必要になる上、のり面の数や面積が膨大なため、多くの人手と手間がかかっていた。

■技術の特徴
(1)高画質な測定システムで広範囲にわたるのり面を一度で測定
 複数のラインセンサーカメラとLiDAR(3次元計測システム)を搭載した測定システムで、高さや幅が広いのり面でも一度に高画質な画像を撮影する。
(2)画像計測による変状抽出
 複数のラインセンサーカメラにより、のり面の全景画像を延長無制限で作成することが可能である。また画像を拡大することで、ひび割れ等の目に見える変状を抽出することができる。
(3)3次元計測によるのり面形状の経時変化追跡
 LiDARで、画像と同時にのり面の3次元形状を記録することで、平面画像からだけではわからない断面の形状も記録が可能である。浮きやはらみ出し(表面が盛り上がってくること)など、のり面の崩壊につながる可能性のある予兆をつかむことができる。
(4)AIによる変状抽出処理
 AIによって自動的に亀裂やはく離、ひび割れなどの変状を抽出することで、劣化状況の全体感をつかむことができる。また、高画質で近景の出力をすることも可能で、細かな確認が必要な場所の様子も詳細に確認できる。さらに、撮影回数を重ねることで変状の経時変化を取得することもできるようになり、効果的な点検計画の立案にも貢献する。