リコー 認識精度98.87% 取引帳票向けAI OCR技術を開発 手書き文字にも対応

 リコーは、請求書や納品書などの取引帳票において、業界最高水準となる98.87%の読み取り精度を実現するAI OCR技術を開発したと、8月26日に発表した。帳票に印刷された、かすれ、にじみ、ズレなどがある文字の読み取り精度を大幅に向上し、さらに手書き文字の読み取りにも対応した。同技術を8月末に、クラウド型AI帳票認識OCRソリューション「RICOH Cloud OCR」シリーズへ実装し、リコーの他サービスにも順次展開していく。
 リコーは、OCRの読み取りに不利に作用する罫線などを検知・無効化する画像処理技術を開発し、帳票特有の語彙を元に単語の区切りや誤りを検出・補正する帳票知識処理と組み合わせることで、AI OCRの処理機能を向上させ、取引帳票の文字認識精度を大幅に向上した。また同時に、OCRエンジンも手書き対応に進化させている。これらの技術により、さまざまな印刷・印字方式の紙帳票の電子化をサポートし、お客様の帳票処理業務を効率化することで、バックオフィス業務におけるDXに貢献する。

リコー 取引帳票向けAI OCR技術を開発

開発したAI OCR技術の特徴
 今回リコーが新たに開発したAI OCR技術は、手書き文字の認識や複写伝票に使われるドットインパクトプリンターのインクリボンの消耗による文字のかすれ、印刷された帳票フォーマットと文字との位置ズレや文字重なり、インクジェットインクのにじみなどをAIが読み取り、複数の画像処理技術を適切に施すことで、さまざまな種類の帳票に記された、識別しやすさにばらつきのある文字情報を正確に読み取ることが可能となった。
 このAI OCR技術を、第一弾として帳票の処理業務を自動化する「RICOH Cloud OCR」シリーズに実装する。「RICOH Cloud OCR」は、紙の取引帳票をリコーの複合機でスキャンする、もしくはPDFデータをクラウドにアップロードするだけで、さまざまな形式の帳票を読み取ることができる。データ化した情報は、CSVファイルとして出力して各種の業務システムと連携でき、後工程を含めた帳票処理業務を大幅に効率化する。また、クラウド型のソリューションなので、働く場所を選ばずに業務を実施することが可能である。

リコーが開発したAI OCR技術による読み取り事例
リコーが開発したAI OCR技術による読み取り事例

今後の展開
 今後は、今回開発したAI OCR技術について、2022年1月に発売した「RICOH 証憑電子保存サービス」への適用や、リコーのクラウドプラットフォームRICOH Smart Integration(RSI)へのコンポーネントとして実装するなど、リコーグループが提供する他のソリューションへの展開について順次検討を進める。また、企業間取引に関わるさまざまな製品・サービスを組み合わせて提案することで、お客様のワークフロー全体のデジタル化に貢献していく。