エプソンアトミックス 55億円を投資し八戸市に新工場建設開始 不要な金属を原料として資源化

セイコーエプソン/エプソンアトミックス 2023年10月12日発表


エプソンアトミックス 新工場(完成イメージ)
アトミックスの新工場(完成イメージ)

 セイコーエプソン(以下 エプソン)のグループ会社であるエプソンアトミックス (以下 アトミックス)は、建物・生産設備に約55億円を投資し、不要となった金属を金属粉末の原料として資源化する金属精錬工場の建設を開始すると、10月12日に発表した。
 新工場は、2022年7月に八戸市と土地売買契約を締結した「八戸北インター工業団地16号区画」に建設する。10月12日に地鎮祭を執り行い、10月15日に着工、2025年6月の稼働を目指す。

 エプソンは、「環境ビジョン2050」において、2050年に「カーボンマイナス」と「地下資源消費ゼロ」を達成し、持続可能でこころ豊かな社会を実現することを目指している。また、長期ビジョン「Epson25 Renewed」では、環境への取り組みとして環境技術開発により、金属や紙などの原料リサイクルを進め、そこから生み出された技術やソリューションを使い、新たな環境ビジネスを創出することを掲げている。

 アトミックスは、今後の地下資源減少や金属原料の価格高騰などによるバージン原料の入手が困難となるリスクも考えられることから、金属の資源循環を実現する金属粉末製造を確立していくために、新たに工場を建設するものである。
 新工場は、不要となった金属を金属粉末製品の原料として再生する工場として、金属を溶解する高周波誘導炉や金属の不純物を取り除くAOD精錬炉、インゴット(塊)に固める鋳銑機などを導入する。

 この新工場では、アトミックス内の製造工程で規格外となった金属粉末製品や工場内から排出される金属くず、エプソングループが排出する金属端材・使用済み金型など、不要となった金属をアトミックスの金属粉末製品の原料として再資源化する。新工場稼働により高炉製純鉄などのバージン原料を再生金属原料に置き換え、地下資源の保護とCO2排出量の削減に貢献する。

 アトミックスでは、新精練プロセスの導入により、次世代高機能粉末の開発を強化し、磁気特性やアモルファス形成能力を向上させ、次世代の省電力・小型デバイスの実現に寄与する。
 また、エプソングループの「環境ビジョン2050」に基づく「地下資源消費ゼロ」を目指す取り組みの1つとして、金属の資源循環可能な拠点を目指す。

【新工場概要】
《所在》 青森県八戸市北インター工業団地 四丁目111番2
《投資額》 約55億円 (建物・生産設備など。土地を除く)
《面積》 約29,000㎡(土地)
《建屋》 工場棟 約3,617㎡、受変電棟 約345㎡、事務所約 356㎡
《設備》 高周波溶解炉、AOD精練炉、鋳銑機など