ミマキエンジニアリング アナログ捺染のデジタル化を推進 昇華転写用プリンターを発表

ミマキエンジニアリング 2023年6月6日発表


 ミマキエンジニアリングは、テキスタイル向けRoll to Roll方式昇華転写用インクジェットプリンター「Tiger600-1800TS」を、6月8日から14日まで開催のITMA(開催地/イタリア・ミラノ)で世界初披露し、2023年秋から販売を開始する。生産性同社最速の昇華転写プリンターによる捺染市場のデジタル化を推進する。

ミマキエンジニアリング Tiger600-1800TS
Tiger600-1800TS

 現在、世界の捺染製品の大部分は一部の生産国に集約され、アナログ印刷で生産されている。アナログ捺染は工程が煩雑で生産プロセスが長期に渡る上に、消費国への出荷リードタイムが長くなる。そのため消費国のアパレルブランドや小売業は欠品による販売機会損失を防ぐために在庫保持する必要があり、売れ残りのリスクと廃棄処分により発生するコストや環境負荷への影響がある。また、アナログ捺染はインクの調合や印刷版の洗浄のため化学物質に触れる頻度が高く、作業者の安全性の課題がある。
 一方、近年テキスタイル業界及びアパレル業界ではデザインや色使いの多様化により、色数に合わせた印刷版やインクの調合を必要としないデジタル捺染技術が求められている。デジタル捺染は、工程が少なく設備規模も比較的小型のため、需要変動に合わせ必要なものを必要な分だけ消費地に近い場所で生産でき、リードタイム短縮により在庫リスクが削減できる。また、印刷版の洗浄廃水が無くなることでも環境負荷の削減に貢献する。

 新製品「Tiger600-1800TS」は、新たに採用した高速駆動のプリントヘッドと同社独自の画質技術により、最大印刷速度550㎡/h(従来機比143%)に向上した。印刷速度向上により、捺染市場のデジタル化をさらに推進する。
 また、従来機では転写紙を装置の後方に装着し、印字後に装置の前方にて巻き取りする構造だったが、本機は装置後方にて巻き取りも行う構造としたことで、装置奥行サイズが約半分になった。装置の設置スペースが小さくなることにより、顧客が複数台導入を検討しやすくなり、さらなる需要変動への対応と生産量向上に貢献する。
 さらに、「Tiger600-1800TS」に搭載される昇華転写インクMLSb510は、bluesign APPROVEDを今年6月に予定している。これにより、同製品が世界最高レベルの消費者や労働者の安全、環境への配慮された製品であることを証明し、テキスタイル産業の持続に貢献する。

 「Tiger600-1800TS」は、2023年秋の販売開始を予定しており、テキスタイル・アパレル用途に年間200台(全世界)の販売を見込んでいる。本体価格は、税別1,500万円。