リコーとリコージャパン 360度カメラ映像から高精細な3Dモデル生成 東京電力パワーグリッドに導入

リコー/リコージャパン 2026年10月26日発表


 リコーとリコージャパンは、リコーが開発した、360度カメラで撮影した映像から世界最高水準の高精細な3Dモデルを生成する技術を、東京電力パワーグリッドの建物保全業務に導入し、運用を開始した。
 本技術は、リコー独自の360度カメラの位置推定技術と、周囲の空間構造を推定・補完するAIを組み合わせることで、壁面や床面を含む空間全体を、欠損を抑えた高精細な3Dモデルとして生成するものである。

 インフラの老朽化や熟練技術者の減少が進む中、建物や設備などの維持管理業務においては、現場確認や設備点検、関係者間の情報共有を効率化することが課題となっている。こうした課題への対応策として、現実空間をデジタル空間上に再現する3Dデジタルツインの活用が進んでいる。
 近年では、専用機材や撮影スキルを必要とせず、現場を移動しながら効率的に空間情報を取得できる360度カメラを活用し、撮影映像から3Dモデルを生成する手法が注目されている。
 一方、撮影映像から空間形状を推定して3Dモデルを生成するにあたり、白い壁や床、机の天板など、画像上の特徴が少ない場所では形状を正しく推定することが難しく、3Dモデルに欠損が生じやすいことへの対応が課題だった。

リコー 360度カメラ映像から生成した3Dモデルの比較
360度カメラ映像から生成した3Dモデルの比較

■空間構造を補完する独自AI技術により、3Dモデルの欠損を大幅に抑制
 リコーは、この課題を解決するため、周囲の壁や床のつながり、部屋全体の構造などをAIが総合的に判断して補完する技術を開発した。これにより、画像上の特徴が少ない場所を含む空間でも欠損を大幅に抑え、世界最高水準の高精細な3Dモデル生成を実現した。
 また、本技術を「RICOH Digital Twin Workplace」に実装することで、利用者は360度カメラで撮影したデータをアップロードするだけで、半日程度で高精細な3Dモデルを生成できる。レーザースキャナーなどの専用機材を用いた従来の3Dスキャン手法では、撮影からモデル生成まで数日を要していたが、本技術により、短時間で3Dデジタルツインを構築できるようになる。これにより、工事や設備変更などによる現実空間の変化をよりタイムリーに3Dデジタルツインへ反映できるようになり、空間情報の継続的な更新・活用を支援する。

■東京電力パワーグリッドで運用を開始し、対象拠点を順次拡大
 東京電力パワーグリッド(東京電力PG)は、2026年6月より、主に事務所用途の建物を対象に、3Dデジタルツイン化の実証を進めている。今回、その3Dモデル生成工程に本技術を導入することで、欠損の少ない高精細な3Dモデルをより短時間で生成できるようになり、建物の状態をより正確に把握するとともに、工事前後の状態変化を継続的に反映できるようになる。これにより、現場の状況をデジタル空間上で確認することが可能になる。
 東京電力PGでは、デジタル技術を活用した業務変革(DX)の一環として、所有する建物を360度カメラで撮影し、その映像から生成した3Dモデルを「RICOH Digital Twin Workplace」上で活用している。建物名、階数、部屋名などの情報を付与することで、3D空間と建物に関する情報を一元的に管理し、必要な情報へ直感的にアクセスできる環境を構築している。これにより、現場に赴かなくても建物の状況や関連情報を確認でき、保全業務における調査や関係者間の情報共有の効率化を図っている。また、現場の状況をデジタル上に蓄積・共有することで、熟練技術者が持つ知見やノウハウの共有・継承への活用も想定している。
 本取り組みにおいて、リコーは3Dモデル生成技術を提供し、リコージャパンは「RICOH Digital Twin Workplace」の提供および導入・活用支援を担っている。

本技術により生成した東京電力PGの駐車場エリアの3Dモデル