富士フイルム 「構造色インクジェット技術」新開発 タマムシと同じ発色現象で高い意匠性を実現

 富士フイルムは3月23日、色素を用いず、光の反射によって生じる発色現象である「構造色」を発現させ、意匠性の高い加飾印刷を可能にする「構造色インクジェット技術」を新たに開発したと発表した。本技術は、インクに色素となる染料や顔料を含まず、基材定着時にインク膜内に微細構造を形成する技術により、構造色を発現させるものである。構造色の多彩な色合いをインクジェット印刷で自在に表現でき、樹脂やガラスの装飾などに最適である。本技術は、シチズン時計株式会社が今年7月に発売予定の腕時計の文字板や、アーティストの舘鼻則孝氏が制作するアートピースに採用された。

CITIZEN L アンビリュナ
構造色インクジェット技術を採用した CITIZEN L『アンビリュナ』

 構造色とは、光の波長程度の微細構造によって生じる発色現象である。物質自体に色素が無くても、その微細な構造によって光が干渉・分光することで発色して見える。自然界ではモルフォ蝶やタマムシ、貝殻などの例が挙げられ、その鮮やかな色彩が特長。
 今回新たに同社が開発した「構造色インクジェット技術」は、富士フイルムの分子制御技術を応用し、フィルム基材上に吐出したインク内に微細な構造を形成して発色させるものである。色味の異なる構造色を発現するインクを複数種用意し、その組み合わせやインクの濃度を調整しながら、構造色のパターンやグラデーションなどを自在に描画することで、高い意匠性を実現する。
 本技術は、透明な樹脂やガラスの装飾にも適しており、今回採用された時計やアートピースのように、ファッション用品やインテリアの分野で活用できる。また、店頭の内外装やディスプレイへの加飾といった空間デザインにも応用できる。多品種・少量生産や多様なデザインを可能にするインクジェット印刷の特長を生かし、幅広い分野や用途へ展開していく予定。