ドキュサインが「電子署名レポート2023」を公開 ビジネスパーソンの電子署名サービス経験率は7割超

ドキュサイン・ジャパン 2023年6月14日発表


 ドキュサイン・ジャパン(以下 ドキュサイン)は、6月14日、日本市場の電子契約/電子署名サービスの現状と将来像に関する調査レポート『電子署名レポート2023』を発表した。
 本調査からは、電子契約/署名サービスの使用経験があるとする回答者が7割を超えたことが明らかになった。
 また、導入企業が増加するなか、すでに電子契約/署名サービスを導入している企業の7割超がさらなる利活用を検討している。
 利用機能・範囲の拡大や紙文書のデジタル移行を目指しているとする回答が多く、将来的な業務文書のデジタル化への統一に対する期待が高まっていることを示唆する結果となった。

■調査背景
 ドキュサインでは、日本国内における電子契約および電子署名サービス市場の現状とニーズ、将来像を探るために、2021年以降、ビジネスパーソン1,000人を対象にした定点調査を毎年実施しており、今回で3回目となる。今回の調査では、回答者が勤める企業や組織・団体におけるデジタル・トランスフォーメーション(DX)の取り組み、電子契約/署名サービスの利用・導入状況、今後の展望について調査・分析した。

■業務遂行上の課題は「スキルの教育不足/属人化」および「人手不足」
 今回のドキュサインの調査で、DXに取り組む目的として最も多く回答が集まったのは、「業務の効率化」(65%)だった。背景には、継続が見込まれる少子高齢化による労働人口の減少を受け、少ない人手で同量またはそれ以上の業務を効率的に行う必要性があることが考えられる。
 実際に、内閣府が2022年に公開した「令和4年版高齢社会白書」によると、日本の生産年齢人口(15〜64歳)は1995年をピークに減少が続いている。また、日本商工会議所ならびに東京商工会議所が行った調査によると、「人手が不足している」と回答した企業の割合は64.9%に達していた。
 続いて業務遂行上の課題を問うたところ、「スキルの教育不足/属人化」が最も多く、次に「人手不足」があがった。3番目には、業務がデジタル化されていないことから引き起こされる「手作業の多さ」があがっている。
 これらの結果からは、日本の業務の現場全体で、人材不足に端を発する問題と手作業の多さが業務を圧迫している現状が浮かび上がった。そうした状況から、電子契約/署名サービスをはじめとしたデジタルツールによる業務効率化への期待が高まっていることが示唆されている。

■電子契約/署名サービスの利用・導入の現状
 調査内で電子契約/署名サービスの利用について質問したところ、ビジネス・プライベートのいずれかで利用経験があるという回答が73%に達した。特に、プライベートで各種サービス類の契約や申込時に利用したことがある人が前回調査より10ポイント超増加している。これは、電子契約/署名サービスの普及が進み、日常で使用するサービスにも浸透してきたことを示唆している。
 また、電子契約/署名サービスの導入状況について、今回の調査では「すでに導入している」は30%、「導入の準備を進めている」は10%、「導入の検討をしている」は13%、「導入の検討はまだだが、導入したいと考えている」は10%と、見込み企業を含めると6割を超え、導入社数はさらに増加していくことが予測される。
 電子契約/署名サービスの効果については、「在宅勤務/テレワーク対応」が最も多く、次いで「事務処理の効率化」「ハードコスト(紙代、送料など)の削減」となっている。全体的な業務効率については95%が「業務効率が上がった」、そのうち、3割超の人が「期待よりも業務効率が上がった」と回答している。

■紙からデジタルへ移行する上での課題と利活用の拡大
 電子契約/署名サービスを導入している企業に対し、利用上の課題を聞いたところ、「紙との並行利用になり、管理等が煩雑になっている」「契約先への手続き方法などの説明・対応が面倒」「契約先から電子契約/署名サービスに対しての理解が得られない」があがっている。ドキュサインでは、これらは電子契約/署名サービスの本格的な普及への過渡期ゆえに発生する課題と考えている。
 また、「各種法令への対応」も課題としてあがっているが、最近では政府のデジタル化に向けた取り組みや法改正により、書面交付が原則とされていた文書についても電子化が認められるようになっている。例えば、改正宅地建物取引業法の施行(2022年5月)により、重要事項説明書や賃貸借契約書を電子契約/署名サービスを利用して交付できるようになったほか、2023年6月からは特定商取引法における契約書等の書面の電子化が認められている。
 一方、今後の展開については、「利用機能の拡大」(29%)、「利用業務/活用範囲の拡大」(25%)、「紙文書の移管(デジタル化)」(24%)を検討している企業が多く、7割以上が電子契約/署名サービスのさらなる利活用を考えていると回答している。
 必要と考える電子契約/署名サービスの機能は、「本人確認」(33%)、「文書の管理・保管」(32%)、「データ改ざん検知・防止」(30%)など、セキュリティを強化するための機能が上位にあがっている。また、契約の準備から、締結、保管までを一気通貫で管理する「契約ライフサイクル管理」を選択した回答者の割合が前回調査から6ポイント増加しており、契約業務全体を最適化するソリューションの需要が高まってきていると考えられる。

【調査概要】
《調査名》電子署名レポート2023 〜国内市場の現状と将来像〜
《調査対象》日本国内の就労者1,000名
《調査方法》インターネット調査(株式会社日経BPコンサルティングに委託)
《調査時期》2023年3月