富士フイルムBI 製造業の開発・生産現場に分散するデータを3Dモデル上で統合・一元管理
富士フイルムビジネスイノベーション 2025年9月29日発表
富士フイルムビジネスイノベーション(富士フイルムBI)は、自動車や家電、産業機械など、幅広い分野の製造業の開発・生産の両現場に分散するデータを3Dモデル上で統合・一元管理するクラウドサービス「3DWorks(スリー・ディー・ワークス)」の提供を9月29日より開始した。
「3DWorks」は、量産開始前の量産試作工程において、開発部門と生産部門が製品仕様や製造条件の調整(すり合わせ)に必要な情報を3Dモデル上に統合・一元管理することが可能なクラウドサービスである。これにより、部門間の効率的な情報共有と迅速な合意形成を可能とし、製品の開発期間短縮を実現する。
■「3DWorks」のサービス概要と特長
(1)3Dデータを基盤とした情報の統合と一元管理
PMI(製品製造情報)が付与された3Dモデルを取り込むことで、生産現場向けの2D図表示や測定指示付きの検査表を自動で生成できる。また、検査表に入力した検査結果や不具合対応履歴を「3DWorks」上に登録できるため、設計情報から測定結果、不具合対応までを1つのプラットフォーム上で一元管理し、効率的な情報共有とプロセス管理を実現する。
(2)試作部品のビジュアル評価
試作部品の出来栄えを、測定データに基づき3Dモデル上で視覚的に確認できる。具体的には、設計値と測定値のズレを矢印と色で直感的に可視化できるほか、金型トライ前後での品質の良化・悪化も表示可能で、改善点を明確に把握できる。これにより、部門間で改善点の認識を統一でき、適切な修正案の検討と合意形成を迅速に進められる。
(3)修正履歴の管理とナレッジの蓄積
不具合原因や対策内容、判断結果の履歴を蓄積できるため、過去の修正履歴を迅速に確認することが可能である。蓄積されたデータは、不具合の再発防止策の検討に加えて、類似部品の試作や不具合対応にも活用できるため、開発効率の向上や品質改善に貢献する。さらに、従来は属人化していた技術的な知見を組織全体で共有可能にし、ノウハウの有効活用と継承を支援する。
■自社導入による実証成果
「3DWorks」は、設計情報、測定結果、不具合対応履歴を3D上で統合する独自技術を活用したクラウドサービスで、富士フイルムBIは、自社の複合機・プリンターの開発でも実証を重ねてきた。実証の結果、プロダクションプリンターの開発の一例として、金型トライ回数を40%削減し、量産開始前までの開発期間を4カ月短縮する効果が得られた。