富士フイルムHD 収益性と資本効率を重視し企業価値を向上 中期経営計画「VISION2030」を策定

富士フイルムホールディングス 2024年4月17日発表


 富士フイルムホールディングス(富士フイルムHD)は、2030年度を最終年度とする中期経営計画「VISION2030」を策定したと、4月17日に発表した。「VISION2030」の下、収益性と資本効率を重視した経営の推進により、富士フイルムグループの企業価値をさらに高め、世界TOP Tierの事業の集合体としてさまざまなステークホルダーの価値(笑顔)を生み出す会社へ進化することを目指す。
 なお、成長領域であるバイオCDMOおよび半導体材料を中心に、2024年度から2026年度までの3年間で総額1.9兆円を投資し、事業成長を加速させていく。

 同社は、2017年に制定した、2030年度をターゲットとするCSR計画「Sustainable Value Plan 2030」(以下、「SVP2030」)において、「事業を通じた社会課題の解決」と「事業プロセスにおける環境・社会への配慮」の両面から、4つの重点分野「環境」「健康」「生活」「働き方」と、事業活動の基盤となる「サプライチェーン」「ガバナンス」における目標を設定し、サステナブル社会の実現に貢献することを目指している。今回策定した「VISION2030」は、「SVP2030」の目標を実現するための具体的なアクションプランである。

 「VISION2030」では、2030年のあるべき姿を「収益性と資本効率を重視した経営により、富士フイルムグループの企業価値をさらに高め、世界TOP Tierの事業の集合体としてさまざまなステークホルダーの価値(笑顔)を生み出す企業」と定めた。その実現に向けて取り組むべき重点項目として、(1)成長投資と収益性重視、(2)資本効率の向上、(3)研究開発マネジメント、(4)投資リターンの確実な創出、を設定し、セグメントごとに適切な戦略を描くとともに、事業ポートフォリオマネジメントを強化していく。
 事業ポートフォリオマネジメントでは、市場の魅力度と自社の収益性の2軸で各事業を「基盤事業」「成長事業」「新規/次世代事業」「価値再構築事業」に分類。「価値再構築事業」と位置付けた事業に対しては、新たな戦略を策定・遂行し、「基盤事業」へのシフトを図る。また、バイオCDMOや半導体材料などの「新規/次世代事業」「成長事業」を中心に、前中期経営計画「VISION2023」を上回る1.9兆円の成長投資を実施する。
 これらの取り組みにより、2026年度に売上高3兆4,500億円、営業利益3,600億円、同社株主帰属当期純利益2,700億円を目指す。また「VISION2030」の最終年度である2030年度には、売上高4兆円、営業利益率約15%以上、さらに2027年度以降にバイオCDMOで積極投資フェーズから利益獲得フェーズに移行することで、ROE10%以上、ROIC9%以上を達成することを目指す。