日本政策投資銀行とセイコーエプソンが3DEO Inc.に出資 金属3Dプリンター活用で

日本政策投資銀行/セイコーエプソン 2024年1月19日


 日本政策投資銀行(DBJ)とセイコーエプソン(エプソン)は、3DEO Inc.(3DEO)に対して出資を行なったと、1月19日に発表した。

 3DEOは、独自開発した生産プロセス技術「Intelligent Layering」を用いて小/中ロット領域での金属部品の設計・製造の一貫サービスを有するスタートアップである。とくに航空・宇宙、医療・ヘルスケア、半導体の分野でのシェア獲得を目指している。
 近年、金属3Dプリンティングの製造プロセスイノベーションおよび製品のプロダクトイノベーションは、航空・宇宙、医療・ヘルスケア、半導体の分野を中心に拡大している。さらに、自動車や産業関連機器の分野では開発コストや開発期間の削減、軽量化、スペアパーツ、機能性金型などへの活用が始まっている。
 他方、日本では、加工組立産業の成長を支え続けた精密鋳造を基礎とする従来型の金属加工への信望が厚く、あわせて品質・コスト面からのサプライチェーンの最適化が図られているため、3DプリンティングやDfAMに関する研究開発、普及啓発の動きがあるものの生産現場への実装の参入障壁が高く、結果として、サプライチェーンの革新動向から大きく遅れをとっている現状である。

 本件は、「産業の技術革新と再編成」を経営上の重要課題としているDBJと、「長期ビジョンEpson 25 Renewed」において、環境負荷に配慮した「生産性・柔軟性が高い生産システム」を共創し、ものづくりを革新することを掲げる「マニュファクチャリングイノベーション」を推進するエプソンが、3DEOの北米、日本での事業進出を資本面から支援するものであり、日本の製造業の革新、競争力強化に寄与することから、DBJの「特定投資業務」の一環である「DBJスタートアップ・イノベーションファンド」を活用し投資を実行した。

 3DEOおよび3DEOが開発するマシンは以下の特長を有している。
(1)ビジネスモデル
 金属3Dプリンティングの設計・製造の一貫サービス
(2)造形技術
 「3DEO’s Intelligent Layering process」という独自技術を開発しており、小ロット・中ロットの金属部品の連続生産が可能

 なお、本出資に際して、DBJおよびエプソンは、対米外国投資委員会(CFIUS)に係る手続きを2023年12月14日に完了した。
 DBJは、3DEO、エプソンなど各ステークホルダーと密に連携しながら3DEOの事業構築、企業価値向上に向けて積極的に3DEOをサポートするとともに、国・自治体や関連民間企業等の各関係者の結節点となって、日本のDfAMの社会実装に貢献し、製造業の革新および再編への寄与を目指す。