リコーと東芝テックが複合機の開発・生産JV設立で合意

生産コスト削減に期待、両社製品の独自性と販売体制は変わらず

リコー/東芝テック 2023年5月19日発表


(左から)錦織社長と大山社長

 リコーと東芝テックは5月19日、デジタル複合機の開発・生産JV(統合新会社)設立で合意したと発表した。JVは、リコーの子会社であるリコーテクノロジー株式会社を核として、両社の複合機の開発・生産に関する事業を分割して承継させる形で2024年4月1日から6月30日の間に立ち上げる。JVへの出資比率は、リコーが85%、東芝テックが15%と決まったが、それ以外の資本金や活用する工場・施設などは未定。

 オフィス向けプリンティング市場は、コロナ禍による印刷枚数の急減からは回復傾向にあるものの、それ以前から続くペーパーレス化の進展は継続しており、ゆるやかな減少傾向が続くと予想されている。複合機メーカー各社は、複合機にデジタルサービスを付加するなど、付加価値の向上に努めているが、複合機自体の開発投資は減らしており、開発・生産コスト削減に取組んでいる。
 今回の両社の合意は、このような市場環境から、両社の複合機の特色とブランド、販売体制はそのままで、エッジデバイスの1つになってきた複合機の共有部分を共同で開発・生産することにより、コスト削減を目指したものである。リコーの大山晃社長・CEOと東芝テックの錦織弘信社長は、両社の複合機の販売環境は変わらないと語り、複合機の生産コスト削減がメリットになるとして、他社にも参加を呼び掛けた。
 リコーは2022年1月にOKIとの間で、A3モノクロプリンターのプリンターエンジンを共同開発しており、開発期間を約3割短縮した実績もある。両社はこの共通のエンジンに、それぞれが独自開発したプリントコントローラーを搭載した製品を、それぞれのブランドで販売しており、リコーにとっては今回のJV設立構想を抱かせる成功体験になったもようである。
 今後は、このJV設立構想へ同調する複合機メーカーが、どれだけ現れるかが焦点になる。