NR-Power LabがCollaboGate Japan、Sassorと連携 世界初の分散型ID活用VPPシステムの構築を開始

NR-Power Lab/日本ガイシ/リコー 2023年8月9日発表


 日本ガイシとリコーが出資する合弁会社NR-Power Lab(株)は、日本発のIoTスタートアップであるCollaboGate Japan(株)と(株)Sassorの2社と連携し、分散型IDを活用して低コストで堅固なセキュリティーを実現する独自のVPP(仮想発電所)システムの構築を開始したと、8月9日に発表した。早期の事業化を目指し、2023年度内にシステムを構築し、2024年度から実フィールドでの検証を行う。

 VPPとは、再生可能エネルギー(再エネ)の発電や蓄電池への充放電、施設や家庭の空調や照明の電力消費など、さまざまなエネルギーリソースをデジタル技術で統合制御し、あたかも一つの大きな発電所のように機能させることである。VPPでエネルギーを有効活用するためには、多様なエネルギーリソースへの対応力やポートフォリオ(組み合わせ)を最適化するシステムが肝となる。VPPシステムの構築には、システムの信頼性が重要である一方、セキュリティーを含む運用コストの低減も求められる。

 NR-Power Labが構築するVPPシステムは、消費電力や発電量を予測し、収益が最大となるポートフォリオになるよう、多種多様なエネルギーリソースをAIにより自動で最適制御する。また、エネルギーリソースが増大した場合でも、分散型IDを用いることで、一つ一つのエネルギーリソースから提供されるデータを正確に把握できる。これにより、従来の中央集権型システムで必要とされていた設備投資や人員を削減することができ、エネルギーリソースの信頼性担保とコスト低減の両立が可能となる。分散型IDをエネルギーリソースの信頼性担保のために活用するのは、世界で初めてとなる。
 システム構築にあたっては、NR-Power Labが中核となり、各社の知見・技術を結びつける。CollaboGate Japanの分散型IDプラットフォーム「NodeX(ノードクロス)」、Sassorのエネルギーリソース最適制御AI「ENES」に、日本ガイシが保有する蓄電池制御技術と、リコーが保有するブロックチェーン技術をはじめとしたIoT・デジタル活用ノウハウを融合させることで、これまでの電力ビジネスにとらわれない新規参入組ならではの発想で新たなVPPサービスを実現する。
 2024年度からの実証には、2023年7月末時点で、IHI、タクマエナジーなど、計8社が共創パートナーとして参画する。共創パートナーとともに、多様なエネルギーリソースの確保や制御方法、精度向上の検証、経済性評価などを行う予定である。今後も継続的に共創パートナーを募り、サービスの拡充を進めていく。

 NR-Power Labは共創パートナーの強みを融合し、「モノ×デジタル×サービス」で脱炭素社会の実現に不可欠な再エネの普及における課題を解決し、持続可能な社会の実現に貢献する企業を目指す。
 日本ガイシとリコーは、両社がこれまで培ってきた技術・ノウハウを融合した事業を通して再エネの普及・導入を後押しし、持続可能な社会の実現に貢献する。

■共創パートナー社名(50音順)と共創における役割
《株式会社IHI》 マイクログリッドの活用検討・経済性評価
《CollaboGate Japan株式会社》 分散型IDプラットフォーム「NodeX」の提供
《株式会社Sassor》 エネルギーリソース最適制御AI「ENES」の提供・共同開発
《株式会社タクマエナジー》 廃棄物発電所の活用検討・経済性評価
《パルコスモ株式会社》 空調システムの活用検討・経済性評価・各種エネルギー使用量の把握
《北海道電力株式会社》 VPPシステム構築と実証におけるオブザーバー
《株式会社YAMABISHI》 太陽光発電設備と組み合わせた蓄電池システムの活用検討・経済性評価
《株式会社ラプラス・システム》 VPP活用による太陽光発電設備と蓄電池システムの最適運用検討・経済性評価