富士フイルムBI 独自のレーザー光源活用した空間センシング技術を開発
富士フイルムビジネスイノベーション 2026年9月29日発表
富士フイルムビジネスイノベーション(富士フイルムBI)は、複合機の高画質化・小型化を支えてきた光デバイス技術を応用した独自のレーザー光源「Smart Addressable VCSEL」を活用した空間センシング技術をこのほど開発した。
本技術は、レーザー光源やその制御機能をひとつのチップに集約することなどによる小型化を実現するとともに、取得した距離データを解析することで、人や物の位置だけでなく、その動きや移動方向を広範囲で認識できる。こうした小型かつ広範囲なセンシングの特長を生かし、人の接近に応じた機器の自動制御や、人の動きを利用した非接触操作、作業者や通行人の検知による安全支援などへの活用が期待される。
本技術は、同社が複合機・プリンターの開発で長年培ってきた光デバイス技術を応用したものである。150度を超える広い範囲にレーザー光を照射し、人や物までの距離データを取得するとともに、データを独自のアルゴリズムで解析することで、人や物の位置だけでなく動きや移動方向も認識できる。具体的には、レーザー光を照射する発光部、反射光を受光する受光部、距離を算出する距離計測回路、データを解析するための制御演算部で構成されており、発光部から照射したレーザー光の反射光を受光部で捉え、その往復時間から人や物までの距離データを取得する。
また、この空間センシング技術の中核となるのが、同社独自のレーザー光源「Smart Addressable VCSEL」である。「Smart Addressable VCSEL」は、同社の複合機・プリンターの高画質化に貢献してきた面発光レーザー(VCSEL)と小型化を支えてきた自己走査型発光素子(SLED)の技術を融合したものである。多数のレーザー発光点と、それらを高速に切り替える選択回路を集積しており、レーザー光の照射位置を電気的に高速制御できる。これに、広角投影レンズを組み合わせることで、150度を超える広い範囲への照射を実現している。
本技術により、人や物の位置だけでなく、動きや移動方向も認識する空間センシングが可能になる。また、カメラ映像ではなくセンサーで取得した距離データを解析する方式を採用していることから、プライバシーへの配慮や通信処理負荷の低減が求められるさまざまなシーンで活用できる。例えば、人の接近を検知して機器を自動的に起動・制御し、機器使用までの時間の短縮と省エネルギーを同時に実現する。また、人の動きを利用した非接触操作や、機器周辺の人や物の状況把握による安全支援への活用も期待されており、オフィス機器をはじめ、設備機器などへの展開を想定している。
今後、同社は、本技術を活用した空間センシング技術の実用化を進める。まずは同社複合機に搭載されている消費電力の抑制を通じて環境負荷を低減する技術「Smart WelcomEyes」をさらに進化させ、利用者の接近に応じた機器の起動や省電力状態からの復帰を高精度に実現することで、利便性向上と省エネルギーの両立を図る。さらに、非接触操作や安全支援などへの応用を検討するとともに、設備機器をはじめとするさまざまな分野での活用可能性を探索していく。
なお、本技術は、「CEATEC 2026」(2026年10月13日~16日、幕張メッセ)への出展を予定している。


