セイコーエプソン インクジェット立体物印刷装置の量産工程における実用化を加速

エプソン インクジェット立体物印刷装置
インクジェット立体物印刷装置(2021年に開発した単色機)の外観

 セイコーエプソン(エプソン)は3月2日、さまざまな立体物の表面へダイレクトに印刷ができるインクジェット立体物印刷装置について、フルカラー印刷の実現とお客さまとの接点強化により、さまざまな量産工程における実用化を加速させると発表した。
 昨今のニーズやデザインの多様化により、製品や梱包材などさまざまな立体物の表面に対して、デザインなどの加飾、金属インクなどの機能性インクの塗布、バーコードのような情報ラベルの貼付などの、ダイレクトに印刷したいという要望が高まっている。しかし、従来のアナログ印刷による生産手法やプリンターは、平面への印刷が主流であり、立体物に対してダイレクトに印刷することは困難だった。そのため、複数の工程が必要になったり、手作業で行ったりする必要があり、生産の効率性を落とす要因となっていた。さらに有機溶剤インクを使用するケースでは、より安全な労働環境の整備が課題だった。
 エプソンは、2020年に液滴を微小かつ正確に吐出できるインクジェットヘッドを、ロボットアームの先端に装着し平面だけではなく曲面でも高精度に走査させることで、立体物の表面へダイレクトにインクジェット印刷ができる装置を開発した。2021年には、エプソンの強みであるインクジェット技術とロボット制御技術をさらに融合させた単色のインクジェット立体物印刷装置を開発し、お客様の生産現場に導入した。従来は、熟練の作業者に頼っていた立体物の印刷について、自動化、デジタル化を図ることで、生産性や安全性の向上に加え、これまでの製造方法では実現できない機能やデザインといった価値の付加、少量多品種に対応したオンデマンド生産ができることを実証した。
 そこでエプソンは、立体物への印刷自動化に関するお客様の具体的ニーズを把握する取り組みを強化するとともに、インクジェット立体物印刷装置についてフルカラー化を図り、お客様の量産工程での実用化を加速させていく。
 具体的には、まず3月9日から東京ビッグサイトで行われる2022国際ロボット展のエプソンブースで、活用例のひとつとして梱包材に対する単色印刷のデモンストレーションを実施し、インクジェット立体物印刷装置の認知を高める。
 さらに、カラーのインクジェット立体物印刷装置について、2022年度第1四半期までの開発に目途が立ったことから、立体物へのダイレクトのフルカラー印刷も可能となる。加えて、富士見事業所 (長野県諏訪郡富士見町)に開設されている「インクジェットイノベーションラボ富士見」に、従来から設置されているR&D用インクジェット装置に加え、2022年度第2四半期にカラーのインクジェット立体物印刷装置も設置し、お客様との接点を強化するとともに、お客様の工程に合わせて実用化を図っていく。