リコーインダストリアルソリューションズのオプティカル事業を譲渡

リコー 2023年10月6日発表


 リコーは、リコーインダストリアルソリューションズが取り組む車載ステレオカメラやプロジェクター用光学レンズモジュールなどの開発・製造・販売を行うオプティカル事業を、ティーキャピタルパートナーズが管理・運営する新設会社に譲渡することを決議し、株式譲渡契約を締結したと、10月6日に発表した。

■対象事業
 譲渡対象であるオプティカル事業は、リコーインダストリアルソリューションズの主力事業の一つである。複合機やカメラ事業で培ってきた光学ユニットの開発・製造技術および精密成形技術をベースに、(1)先進運転支援システム(ADAS)分野向けの車載ステレオカメラモジュールをはじめ、車載ヘッドアップディスプレイ(HUD)用キーパーツ等を製造・販売する「車載ビジネス」、(2)プロジェクターメーカー向けの投射レンズモジュールを中心に、レーザーTV用レンズモジュール等を製造・販売する「プロジェクションビジネス」、(3)特殊レンズアレイや産業用レンズ等を製造・販売する「エッジセンシングビジネス」で構成される。

■背景・狙い
 対象事業は、競争優位性の高い光学技術を活用した前述の製品を開発・製造・販売し、安定した優良な顧客基盤のもとでビジネスを展開している。車載ステレオカメラモジュールは、国内市場で高い評価を得ており、本事業の基盤を構築してきた。現在は、この技術をフォークリフト向けの産業用ステレオカメラモジュール等にも展開しており、さらに他領域への転用の可能性も見込まれている。また、プロジェクター用レンズモジュールにおいては、高精度な非球面レンズやミラー部品を生かした、レーザーTV向け超短焦点レンズ等が高い評価を受けている。その技術は、車載ビジネス分野でも生かされ、車載HUD内部の画像生成ユニット(PGU)の量産化により、成長が拡大している。

 今回の事業譲渡は、対象事業が高い技術力を有する「ものづくり企業」としてグローバルに事業を展開し、成長戦略をより一層加速するために実施するものである。譲渡先であるティーキャピタルパートナーズは、多業種にわたるものづくりの知見が豊富で、対象事業の領域においてもノウハウを蓄積している。また、ハンズオンでの生産性改善といったバリューアップを得意としており、これによって事業成長を実現した実績がある。車載ステレオカメラについては、マーケティング・営業力の増強・資金調達等、ティーキャピタルパートナーズのノウハウの活用により、国内外での拡販が見込まれる。産業用ステレオカメラにおいては、市場の成長も背景に、ティーキャピタルパートナーズによる資金や人材の積極投資によるソリューションビジネスの新規獲得が見込まれ、インオーガニックな成長が期待される。
 このように、ティーキャピタルパートナーズの元であれば、対象事業の更なる成長を目指すことができる と判断した。

■譲渡スキーム
(1)リコーエレメックス株式会社の子会社であるリコーエレメックスエーティー株式会社の精密部品事業を、リコーエレメックスが新設するリコーエレメックスの子会社に吸収分割
(2)リコーインダストリアルソリューションズのオプティカル事業をリコーエレメックスエーティーに吸収分割
(3)リコーエレメックスエーティーの全株式をティーキャピタルパートナーズが管理・運営する新設会社に譲渡

■日程
 本株式譲渡を2024年6月末までに完了することを目指す。