リコー 「RICOH360」プラットフォーム事業でスパイダープラスと協業を開始

建設業向けソリューション提供で現場のDXを加速

 リコーは、スパイダープラスとともに、建設業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)加速を目的に、「RICOH360」プラットフォーム事業とスパイダープラスの建設DXサービス「SPIDERPLUS」事業との協業を開始すると、8月2日に発表した。
 360度画像・映像を活用した事業のプラットフォーマーとして、技術情報および機能をSPIDERPLUSに提供するとともに、建設業のユーザーニーズを踏まえた短期の課題解決および、市場動向を踏まえた中長期の課題解決に向けたRICOH360の機能強化を行う。リコー、スパイダープラスの双方が知見を持ち寄り、建設業界にさらに特化したソリューションを提供することで、お客様のワークフローのDXに貢献していく。

リコー「RICOH360プラットフォーム」を「SPIDERPLUS」へ実装

協業の背景
 リコーは、2013年に世界で初めてワンショットで360度撮影ができるカメラ「RICOH THETA」を発売以降、360度画像・映像を活用した事業の幅を広げてきた。現在では、360度画像・映像に関連するデバイスやソフトウェア、クラウドサービスを連携させることで、撮影からデータ活用まで、ワークフロー全体を効率化するソリューションを提供し、業務効率化と生産性の向上を実現するRICOH360プラットフォーム事業を強化し、SaaSビジネスの展開を行っている。その中で、建設業向けクラウドサービス「RICOH360 Projects」や、不動産向けクラウドサービス「THETA360.biz」が堅調に伸びている。特にTHETA360.bizにおいては、すでに導入企業は1万2,000 社以上、累計投稿画像数は2億枚と、360度のコンテンツがビジネスにおける営業活動の促進や業務効率を向上させる重要な手段として浸透している。
 スパイダープラスは、建設業向けの図面・現場管理アプリである自社開発の建設DXサービス「SPIDERPLUS(スパイダープラス)」を2011年から提供している。図面整理や写真管理、帳票出力など、建設現場におけるデジタル活用により、手間や段取りを削減し、生産性を向上させるソリューションとして、大手ゼネコン各社をはじめ1,200社を超える企業で活用されている。また、2017年よりRICOH THETAとの連携機能を備えており、日本国内の導入企業を中心として生産性向上に貢献してきた。
 建設業においては、2024年4月より施行が予定されている改正働き方改革関連法案の中で、残業時間の上限に罰則規定がもうけられるなど、労働生産性を上げることが急務となっている。
 このような背景から、建設業界のDX加速とRICOH360プラットフォーム事業のさらなる拡大を目的に、スパイダープラスとの協業を開始する。

協業の具体的な取り組み
 今回の協業を機に、下記のような取り組みを進めていく。
・360度画像・映像を活用した事業のプラットフォーマーとしての技術情報および機能の提供
 リコーがかねてより提供する、360度カメラRICOH THETAの機能を拡張するためのTHETA SDKに加え、「AI超解像度/AI明るさ補正機能」「AI画像切り出し機能」といった360度画像に関わる機能をパッケージ化し、RICOH360プラットフォームとしてスパイダープラスへ提供する。
・建設業におけるユーザーニーズを踏まえた短期的な課題および市場動向を踏まえた中長期的な課題解決に向けた機能強化
 (1) 「AI超解像度/AI明るさ補正機能」「AI画像切り出し機能」といったRICOH360プラットフォームを「SPIDERPLUS」へ実装するための検証を開始する。これらの機能連携の実現により、「画像の鮮明度」「360度写真を加工する手間」などの従来の360度カメラの活用における「SPIDERPLUS」の課題を解消する。
 (2) 建設業界において官民が一体となって推進する「BIM(Building Information Modeling)」において、360度画像と組み合わせたサービスに向けた検証を開始する。「3次元図面(BIM)×2次元写真(一般的な写真)」の組合せだけでは実現できない、BIMに期待される直感的なインターフェースなど、BIM本来の機能が施工管理においても最大限発揮されると考えている。