東北エプソン IJプリンター用ヘッド製造の新棟を竣工 ヘッド生産能力を4倍程度まで増強可能に
セイコーエプソン/東北エプソン 2025年10月10日発表
セイコーエプソン(以下 エプソン)は、インクジェットプリンター用ヘッドの生産能力増強のため、グループ会社である東北エプソンに約51億円を投資し、2024年6月から建設していた新棟(6号棟)が竣工したと、10月10日に発表した。
新棟の竣工により、東北エプソンにおけるプリントヘッドの生産能力を、将来的に現在の4倍程度に拡大する見込みである。

エプソンのプリンティングソリューションズ事業では、エプソン独創のインクジェット技術である「マイクロピエゾ技術」を活用し、オフィス・ホーム、商業・産業の幅広い分野の顧客に製品・サービスを提供している。オフィス・ホーム向けインクジェットプリンターでは、新興国市場での大容量インクタンク搭載インクジェットプリンターへの需要継続、オフィス向け高速機の伸長から、今後も全世界でインクジェットプリンターの需要増加は継続する見通しである。
また、商業・産業向けインクジェットプリンターは、アナログ印刷からデジタル印刷へのシフトに伴い、デジタル捺染など紙以外の分野での需要が高まっている。さらに、商業・産業向けインクジェットプリンターの多くは、「マイクロTFPプリントチップ」を用途に合わせて柔軟に組み合わせた「PrecisionCore(プレシジョンコア)マイクロTFPプリントヘッド」を搭載している。
エプソンでは、商業・産業向けプリンターや高速ラインヘッド搭載のインクジェット複合機など、今後さらにPrecisionCoreプリントヘッドの搭載増加を見込んでいる。
また、ヘッド外販ビジネスの強化により、環境負荷を低減するデジタルプリンティングの世界を広げ、インクジェットによるイノベーションを加速させている。拡大する多様な印刷用途や、新たなニーズが生まれているエレクトロニクス分野やバイオ分野での活用など、オープンイノベーションにより、新たな発想や技術をもつ外部パートナーと協力することで、その可能性は広がっていく。
東北エプソンでは、1995年にプリントヘッド(CHIPSヘッド)の生産を開始、2013年6月にはPrecisionCoreプリントヘッドの生産ラインを構築、量産を開始した。エプソンのロボットを駆使した自動組立ラインとし、プリントヘッドの生産技術ノウハウの蓄積を図るとともに、生産技術を盤石なものとして、国内生産拠点としての競争優位性を向上させてきた。
このたび竣工した新棟は、広丘事業所(長野県塩尻市)における「マイクロTFPプリントチップ」前工程の増産投資に対応するべく、2023年12月竣工の秋田エプソン(秋田県湯沢市)10号棟に続き国内における後工程の生産能力を拡大させるものである。
東北圏2拠点において、安定生産を実現するため機種別生産割り付けを行い、BCP対応として主流機種の両拠点での生産やライン共用による生産変動に柔軟に対応することで、生産性向上を図る。これにより、今後のPrecisionCoreプリントヘッド搭載インクジェットプリンターの需要増加による製品ラインアップ強化などを可能にしていく。
また、新棟は既存のプリントヘッド生産工場棟に併設して建てられ、部品から組立までをより効率的にできるようにした。加えて、新規設計の工程による省人化・省スペース化を図り、工程内在庫の最小化や自動運搬ロボットの導入、効率的レイアウトなどにより、作業者の負荷を低減する。また効率的な成層空調システムを導入し、省エネルギーと省コストを図った。そして、これからの製造業における課題に対応し、夜勤業務の省人化など働きやすさと合理化による高効率生産を両立する未来工場を実現する。