キヤノンMJ 「情報公開支援システム」で官公庁の情報開示業務を効率化 世田谷区に導入

キヤノンマーケティングジャパン 2025年10月2日発表


 キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は、官公庁における情報開示請求への対応を効率化する「情報公開支援システム」の提供を開始した。
 公文書に含まれる個人情報などの機密情報を自動で抽出・黒塗りし、黒塗り文書のテキストデータを削除し画像化した開示文書を出力することにより、セキュリティリスクを軽減した情報公開を実現する。このたび、東京都世田谷区に5月中旬より導入し、業務負荷の軽減と区民対応の迅速化が進んでいる。この導入により、開示請求1件あたりの作業工数を約50%削減することが見込まれ、情報開示請求業務のDX推進に貢献している。

 日本国内では法令に基づき、誰でも公文書の開示請求を行うことができる。請求件数は年々増加傾向にあり、国民の開示請求への認知は一層高まっている。開示請求を受けた各行政機関は、マスキングテープや市販の文書編集ツールを使用して手作業で黒塗りを行い、公文書上の機密情報を不開示にする作業を実施している。また、不開示箇所と不開示理由を請求者に通知する必要があり、不開示理由書の作成にも多くの時間を要している。近年では、職員の人的ミスによる黒塗りの抜け漏れや、請求者が黒塗り部分のテキスト情報を復元する行為による情報漏えいが発生している。
 「情報公開支援システム」は、これまでキヤノンMJグループがメールセキュリティ製品や文書検索ソリューションの開発で培ってきた自然言語処理技術により、公文書に含まれる機密情報の候補を自動で抽出する。抽出された該当箇所には角型や丸型、トリミングなど、柔軟な形で黒塗りを行うことができる。また、それぞれの黒塗り箇所に不開示理由をひもづけることで、ワンクリックで不開示理由の通知書案を出力でき、省力化とスムーズな書類作成を実現する。加えて、本システムで作成した黒塗り文書は、黒塗り部分を含めたテキストデータを削除し、画像化した状態でPDFファイルを生成するため、請求者が黒塗り部分のコピーや復元を行うことができず、情報漏えいを防止した開示を実現する。

 キヤノンMJは、本システムを5月中旬より世田谷区向けに導入している。世田谷区では年間約600件の開示請求があり、これまで機密情報を1件ずつ目視で確認し、不開示箇所の黒塗りや黒塗り文書のコピー作業、不開示理由書の作成、開示までをすべて手作業で行っていた。そのため作業負荷が非常に高く、情報公開業務の効率化・迅速化が急務となっていた。本システムを導入することで、機密情報の保護を強化しながら1件あたりの作業工数を約50%削減でき、関連業務も含め年間で約1,200人日以上の業務削減を見込んでいる。情報公開業務のDXにより、セキュリティリスクの軽減と業務負荷の低減を両立するとともに、区民からの開示請求に迅速に対応できるようになり、創出された人手や時間を区民へのサービス向上へと還元できることが期待される。