富士フイルムBI 生成AIで非定型帳票をデータ化 クラウドサービスに新機能

富士フイルムビジネスイノベーション 2025年9月24日発表


 富士フイルムビジネスイノベーション(富士フイルムBI)は、中堅・中小企業向けクラウドサービス「FUJIFILM IWpro(フジフイルム アイダブリュ プロ)」の新機能として、生成AIを活用したデータ抽出サービス「FUJIFILM IWpro Intelligent Data Captureオプション」の提供を9月24日より開始した。
 文書の取り込みから、データ抽出、編集、出力までの一連の業務を集約する「FUJIFILM IWpro」の新機能として「FUJIFILM IWpro Intelligent Data Captureオプション」を提供することで、非定型帳票を含めた帳票処理業務の効率化を実現する。なお、「FUJIFILM IWpro」を使用している顧客は、月間100ページまで無償で新機能の利用が可能である。

 「FUJIFILM IWpro Intelligent Data Captureオプション」は、生成AIを活用し、企業間取引において発生する見積書・注文書・納品書・請求書を効率的にデータ化する機能である。生成AIを活用したOCR技術により、企業ごとに形式(フォーマット)が異なる見積書・注文書・納品書・請求書から、明細表に記載された情報や手書き文字をデータとして抽出できる。抽出したデータは、販売や会計システムといった後続システムにインポート可能な形式で出力されるため、受注登録や支払い・仕訳などの後工程をスムーズに処理することができる。さらに、本サービスは、顧客側でAIのプロンプト設定を行う必要がなく、帳票処理業務におけるデータ入力作業の負担を軽減し、業務効率化に貢献する。

 従来の「FUJIFILM IWpro」に搭載されていたOCR機能では、帳票から必要な情報を抽出するために、読み取り位置(座標)の指定や、特定のキーワードの周辺から関連情報を抽出する手法が用いられていた。これは、定型帳票においては有効に機能するが、企業ごとに形式(フォーマット)が異なる非定型帳票では、キーワードの特定やその周辺情報を正確に抽出することが難しく、読み取れる項目が限定される課題があった。特に明細表に含まれる品名、数量、金額といった受発注業務に不可欠な項目の情報は、明細表ごとに行数やレイアウトが異なるため、従来のOCR機能ではデータ抽出が困難だった。その結果、明細表の情報は手作業でシステムに入力する必要があった。

 この課題に対し、富士フイルムBIは生成AIを活用したOCR技術により、非定型帳票に含まれる明細表の情報や手書き文字の読み取りを可能にした。生成AIにより、帳票内のテキストや表形式の情報を、項目ごとの意味を理解しながら構造的に認識する。例えば、品名や金額といった項目の意味とレイアウトを認識し、項目名とそれに紐づく情報をセットで抽出することで、明細の属性(意味)を保持したまま、構造化データとして整理・出力することが可能である。これにより、データの抽出から、後続システムで活用可能なデータ形式への整理・出力までを実現した。