シャープ河村新社長CEOが就任会見を開催

海外駐在25年間の経験と鴻海のリソース、シャープの事業基盤の相乗効果で新規事業開発に注力

河村哲治 新任社長執行役員CEO
河村哲治 新任社長執行役員CEO

 シャープの河村哲治 新任社長執行役員CEOは、4月1日就任前日の3月31日に、沖津雅浩社長執行役員CEO(4月1日付けで副会長に就任)とともに社長就任会見を開催した。
 河村新社長CEOは1984年4月にシャープに入社し、海外事業本部の事務機営業部に配属される。2014年10月にSEE(欧州統括会社)社長に就任、欧州代表を兼任した後、2017年8月から4年余り米州代表兼SEC(米国販売会社)会長に就任した。2021年10月からは日本に戻りデジタルイメージングソリューション事業本部長、スマートビジネスソリューション事業本部長を歴任。2022年9月に執行役員となり、2024年6月に常務執行役員スマートビジネスグループ長、2025年4月に専務執行役員CBDOに就任している。
 河村新社長CEOは「私はずっと海外のB to B事業を中心に従事していまして、社歴の約3分の2にあたる25年間を海外で過ごしてまいりました。中でも一番長かったのがアメリカのニュージャージーにあるアメリカの販売会社SECの本社で、そこに3回に分けて延べ19年駐在しました。その他ヨーロッパで6年ですが、最初の1年はドイツのハンブルグ、その後5年間はイギリスのロンドンです」と語る。海外では本名のTetsujiではなく、ニックネームのTedで知られ親しまれている。
 海外赴任で行った大きな取り組みの1つがM&Aで、2回目のアメリカ赴任をしていた2006年に複写機ディーラーの買収に直接かかわり、2年余りの間に全米各地に15ヵ所の直販拠点を一気に立ち上げた。この時に、買収先の選定や買収価格の決定、交渉、買収した後の経営統合計画、事業計画の策定、さらに買収してからの運用を一貫して手がけた経験が、経営者としての力量を育む第一歩となった。河村新社長CEOはさらに、ヨーロッパに場所を移して同様に複写機ディーラーのM&Aに、延べ30件以上携わった。これらの経験について、河村新社長CEOは「非常にいい貴重な経験をさせていただいた」と語っている。
 2021年に最後の海外赴任先であるアメリカから帰国してからは、B to B事業部門の責任者として調達から開発、生産まで一貫して携わった。河村新社長CEOは、「事業全てそれも全世界レベルで、日本もアジアも中国も、欧米も、川上から川下まで全ての事業責任を負う責任者を歴任してまいりました」と今日までの実績を振り返る。
 2024年度には、スマートオフィスビジネスグループ長として全社の事業業績を牽引するという実績を上げた。そして、2025年度には本社のCXO体制で新設された、新規販路開拓等を担うCBDO(Chief Business Development Officer)に就任した。

 河村新社長CEOは、続いてシャープの創業者早川徳次初代社長の精神を取り上げ、世代が変わっても変わっていけないこととして、早川氏が常々に口にしていた「他社がまねするような商品をつくれ」という言葉の裏にある精神や、「二意専心、誠意と創意」という経営信条を挙げて、「代々脈々と引き継がれてきた当社のDNAというものを、これからも引き継いでいきたい」と語った。さらに「2025年9月に発表したスローガン『ひとの願いの、半歩先。』も、脈々とつながるシャープのDNA精神を反映したものであり、シャープらしさを先頭に立って体現していきたい」と語った。

 今後の社長CEOとしての取り組みでは、新規事業の早期立ち上げとシャープブランドのグローバルでの拡大に注力する方針を語った。これには鴻海の40兆円企業、世界の4割以上を占める電子機器製造業というリソースを活用するが、一方的に鴻海に力を借りるのではなく、シャープの全世界に知名度が認知されているブランドや、全世界にある販売ネットワーク、サービスネットワークで鴻海に貢献し、相乗効果を高めていく。これにより『再成長』の実現と『発信力』の強化を図り、企業価値の最大化を実現する方針である。
 このような取り組みを加速させるため、シャープは4月1日付け新体制で新規事業開拓に取り組む社長CEO直轄の事業開発担当を設置した。統轄責任者には河村新社長CEOが兼任し、副統轄責任者にはCTOの徳山満SBS事業本部長が兼任する。鴻海にも劉会長の直下に鴻海中央BD(Business Development)という組織があり、こことシャープの事業開発担当が連携を強化して、本社主導で将来の成長ドライバーとなる新規事業の具体化を加速する。鴻海の強みであるAIサーバーやEVのリソースを活用した新規事業が想定されているようだ。徳山CTOは、「経営戦略×技術戦略×事業実装」の掛け算を起こすポジションとして河村新社長CEOから期待されている。
 また、一貫したメッセージのもとで発信力を高めるため対外発信機能(IR、PR)を社長CEO直轄とした。

 海外事業も拡大する。これは、河村新社長CEOのキャリアを活かせる領域で、すでにシャープ売上の6割、河村新社長CEOが担当したスマートビジネスソリューション事業では7割を占めているが、「まだまだ海外は伸ばす価値がある」と語る。ここにシャープの強いB to BやB to C家電の事業基盤に、河村新社長CEOの欧米25年の経験、特にB to B事業における人間関係、人と人との信頼関係は非常に大きな要素であり、これを掛け算で活かしていく。鴻海の海外事業の強みも活かす。「私のこれまでの経験、知見全てを注ぎ込んで、シャープを次のステージに導けるように全力で取り組んでまいります」と河村新社長CEOは語っている。